藤倉春日 花と水と空気 ■■■ 2007年8月某日

(ある・るインタビュアー)
─ ではあらためまして、一問一答というような感じで、いろいろおうかがいしたいと思います。
藤倉先生(以下「藤」)「はい」
学生時代
─ 和光大学のご卒業ですが、学生時代には何をご専門になさっていたの でしょうか。
藤 「油絵です。」
─ 今は、おもに花をモチーフとして描いていらっしゃいますが、 そこにいきつくまでは…?
藤 「当時は、ゼミでモデルさんを頼んで いましたので。」
─ 人体。
藤 「ええ、人体です。」
─ そこから…
藤 「卒業後、人に勧められて、日本画をやってみないかと 誘われました。それで、日本画。墨絵や岩絵の具などを使いました。」
転換期
藤 「出産が大きな転機になりました。 まず、つわりで油のにおいがダメになりました。
水彩にしますと、片付けがしやすいし、においがしないですしね。
子育てをしながらちょこちょこと描いていけるものということで、 サイズが小さくなったんです。
最初は絵手紙からで…本当に小さくて。それからだんだん今のサイズに なってきたんです。
最初はもう、いろいろなものを描きました。花ばかりでなく、野菜、魚とか。」

藤 「母が私の好きな花をさりげなく持ってきて くれたりしました。」
─ 今までに大きく影響を受けられた作家さんなどはいらっしゃいますか。
藤 「小絲源太郎さんですね。画家を志すきっかけと なった作家です。
それから、大学で指導していただいた、荻太郎先生です。」

作風
─ 私が拝見した限られた範囲での印象なのですが、先生の絵は、空気感のある 佇まいが特徴であると拝見しました。特に、白という色が特徴的で、決して ニュートラルではないやわらかみのある白であることが魅力で、空気感を 表しているように拝見しました。
藤 「そう言っていただけると嬉しいですね。 空気感は私がもっとも大事にしていることなんです。
空間は空気に満たされている。 この全ての存在が空気に満ちた中にあるんです。
教える時には必ずそのように話しています。
それから、空気には必ず流れがありますからね。流れを感じさせる表現を 心がけています。
まあ、なかなか難しいのですが…」

─ 特に、色彩につきましては、色が少ないという(安易な)意味では ないんですが、ポイントのようにお見受けしました。
藤 「そうなんですよ。 色を足すより、引いていく感覚ですね。
ありのままの色彩を再現するのではなく、自分というフィルタを 通して残った色を表現したいと思っています。」

─ お花の中で、特にこだわりがある花、お好きな花は、ありますか。
藤 「はかないもの、ですね。 命って限られているでしょう。そのことを感じさせる花。
たとえば、朝咲いても夕方には散ってしまう花、 数日しか咲いていない花など…
蘭の花などにもいろいろ種類がありますが、あまりゴージャスなのは 好きではなかったりします。
これからの季節でしたらコスモス。それから朝顔、 つゆくさ… 雑草にも目がいきます。
そういう花々が一生懸命咲いている姿が好きです。」

─ 雑草とおっしゃいますと…。道を歩いていて急に心ひかれて、 絵を描き始めてしまうといったこともおありですか。
藤 「そういうことはないですが、歩きながら、 描かなくても強く心に焼き付けておきます。 ああ、この花はもう咲いているんだ、とか。
『さあ、描くぞー』というときには、おおよそのイメージが出来ています。 描くときは家の中で描きます。」
抽象と具象
─ 今年はじめに「ある・る」で開催した「元展」では、抽象画を出展されて いましたね。抽象を描くきっかけなどはおありですか。
藤 「『赤と黒のコンポジション』ですね。」
(参照)平成19(2007)年  元展 作品群
藤 「具象をつきつめていくと抽象になるでしょう。 同じ延長線上なんですね。
それは、美しい花を見た時の感動も、素晴らしい抽象作品を見た時の 感動も、同じだと思うんです。 どちらもまず心で感動するんですよね。 あの色が美しいとか、線が美しいとか…。
しかし、ようく見ると、どちらにもしっかりと計算された構造(骨組み)が あるんです。
ですから私にとっては、花を描くことも抽象画を描くことも一緒で、 常に影響しあっています。」

─ なるほど、フィードバックがあるのですね。
藤 「ええ。機会があるときには、イラストなども 描いたりします。
さまざまな方向に感性を持っていたいんです。 何にでも興味があるというか、単に好きなだけなんですよね。」
塗り絵について
─ 塗り絵の本を昨年秋に出版されたということで、今回も会場で販売するわけですが、 絵画教室で教えていらっしゃることとご関係がおありなのでしょうか。
藤 「ASCII社さんとは、年賀状のイラストを提供して いる関係があるのですが、今回塗り絵の本ということでお声がかかったのは、 絵画教室で教えていることが関係していると思いますね」
─ 元展のときにも、塗り絵に興味を示してらしたお客様がおいででした。
これから塗り絵をやりたい、やってみようかな、そういう人にワンポイント アドバイスなどありましたらお願いします。
藤 「とにかく、楽しんで描くことですね。 まずは好きなように塗ってみる。
私の本などはかなり手順を細かく説明していますが、そういうのは あくまでひとつの方法でしかありませんし。」

─ 塗ってみてはじめて感じることもありますものね。
藤 「そうですね。」
ここで、私事になりますが、インタビュアーの最近の塗り絵体験に ついてひとしきり談笑しました。
─ どうもありがとうございました。
藤 「ありがとうございました。」
会場をお楽しみに!藤倉さん作の「大人の塗り絵」、はがきも会場にて お手にとってご覧いただけます。
興味のある方はぜひお立ち寄りください!
花日和(ばら)
文章担当:Art Space ある・る くわばらともこ
ありがとうございました。
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